今年1月、最高裁判決を受けて「薬のネット販売」が事実上解禁になった。副作用リスクが高いとされる第1類、第2類の販売が再開されると、厚労省は検討会を発足。第1類、第2類に関するネット販売のルールづくりを協議し始めた。
しかし11月6日、田村憲久厚生労働相は医療用薬から市販薬に切り替え後3年間はネット販売を認めず、劇薬はネット販売を認めない方針を表明した。
そんな中、現在、次々とドラッグストアや家電量販店がネット販売に参入しているが、販売品目については各社で対応が分かれている。楽天やケンコーコムなどは第1類を扱っているが、ビックカメラは、ネットでは第2類(指定第2類)、第3類のみしか扱っていない。
「きちんとルールが決まり整備されれば第1類の販売も検討していく」(ビックカメラ・広報担当)
現在ネットで販売されている商品をチェックすると、店頭価格より下がっているものが多い。特に下げ幅が大きいのは第1類医薬品で、価格比較サイト『価格.com』をのぞくと、『ロキソニンS』(12錠)の最安値が540円。都内のドラッグストア店頭では680円だった。およそ2~3割、店頭より安いようだ。
昨年5月にネット最安値自動更新システムを搭載したネット薬局『ドラッグ・フォー・トレス』を立ち上げたメディール社長・田中克明さんは薬剤師でもある。サイトの会員はクレジットカード登録をしている人だけで約2万人。約2000品目を扱っている。
価格は最安値になるようにシステムが決めるので、毎日変動する。『ロキソニンS』(12錠)はたいてい500円台だが、時に400円台まで下がることもあるそう。
「価格はすでに限界まで下がっている。これ以上安くなることはないでしょう」(田中さん)
第1類も販売しているが、
「第1類の場合、ひとり1点限りという条件をつけていて、1週間を通して大量に買っていることが判明すると警告を出す装置もつけるなど注意しています。他の商品と違って簡単にカートに入れられないシステムにもしています」(田中さん)。
実店舗と違い、ネットでは必ず「誰がいくつ何を買ったか」がデータとして蓄積される点はむしろ安全性が高く、利点だと田中さんは語る。
「今後、厚労省のルールが整備されればそれに従って販売します。消費者へのフォローなど営業努力をしなければ、安さだけではネット店も自然に淘汰されていくでしょう」(田中さん)
※女性セブン2013年11月21日号