今年6月に新体制となり、新たなスタートを切ったフジテレビだったが、凋落に歯止めがかかる様子はない。
看板番組の終了、キラーコンテンツ『ほこ×たて』での「やらせ発覚」と、まさに「泣きっ面に蜂(8)」状態。近年の視聴率の低迷も悲惨の一言である。
停滞ムードを打破するために、「視聴率アップ実現」を宣言して新社長に就任したのが、人気シリーズ『踊る大捜査線』を手掛けたヒットメーカー・亀山千広氏だった。亀山氏は5月の会見で、
「作り手に自信がなくなっている。制作現場の悩みを聞き、自信を持たせたい」と、“フジ再生”に意欲を見せたが、その道のりは険しい。
現場を知るドラマ部門社員はこう明かす。
「いま、フジ系列の番組制作子会社には、フジ社員が天下って社長に収まっているケースが多いんです。その彼らが、57歳と若い亀山社長に対して、“亀山には文句をいわせない”と先輩風を吹かせ、企画をゴリ押ししてくる。
現場がおかしな企画だと思っても、亀山社長の先輩格である、“かつてのエライ人たち”の企画が、文句もつけられずに通る傾向にあるんです」
そうした“上層部”から押し付けられるのは、大抵がバブル時代のトレンディドラマの焼き直しや、かつて視聴率を取った女優の再起用など「昔取った杵柄」ばかりで、新鮮味は皆無。これでは、視聴者に見捨てられても当然だろう。
現場の混乱を招いているのは、他ならぬ1980年代以降の視聴率1位という栄光を築きあげた、“幹部”たちということだ。
関係者たちに話を聞くと、そんな“エライ人たち”の暴走ぶりが次々に浮き彫りになる。
「バラエティではあるプロデューサーが、某大物タレントを利用して日枝久会長に取り入って、社内でライバルとなりそうな有能なスタッフをBSやCSに飛ばしまくった。その結果、面白い番組を作れる人間がいなくなったのが、フジのバラエティがつまらなくなった最大の原因だといわれています」(フジ関係者)
「ドラマにしても、『半沢』で演技力のある俳優さんをキャスティングすれば成功できることがわかったのに、芸能事務所からゴリ押しされた、演技力のない俳優や女優を起用しなくてはならない。お偉いさんがその事務所と公私共に近すぎるためです。
事務所側もそういうテレビ局で操りやすい人を出世させようと働きかけるので、結局、上には能力のない人ばかりが集まることになる」(前出・ドラマ部門社員)
※週刊ポスト2013年11月22日号