パートを始めようとする時に見る求人広告。新聞や折り込み広告、あるいはインターネットやフリーペーパー…。「時給のいいパート、ないかなぁ」そんなことばかりを考えて仕事を探していると、大きな落とし穴が待っているかも。
求人を出す側は、どうしたら人を集め続けられるかを考え抜いている。都内のウェブ制作会社の経営者のAさんが、匿名を条件に手の内を明かす。
「求人を出すのは、1週間分の価格で2週間掲載してもらえる、キャンペーンの時期だけです。年に6回、2つの求人サイトで交互に3回ずつパート・アルバイトを募っています。1回当たり、5万円くらいですね。それで30通くらい履歴書が届きます」
2つの求人サイトを使い分けているのは、職場が過酷だからだ。
「すぐ人が辞めちゃう。だからといってずっと同じサイトで求人し続けてると、ブラック企業みたいに見えるじゃないですか(笑い)」(Aさん)
勤務時間はフレキシブルで、時給は破格の1500円。しかし、実際の支給額は、東京都の最低賃金869円を下回っているという。
「まず、最初は試用期間ということで、満額は出しません。当たり前ですよね。それである程度時間が経ったら、パートとかじゃなくて、『業務委託』という形を取ります」(Aさん)
つまり、何時間働いたからいくら払う、ではなくて、いくら払うからどこまで仕上げる、という形態にするのだ。
「これなら、何も問題ありません。だって、最低賃金を下回っても、それは単にその人の仕事が遅いってことですから」(Aさん)
それでも一見、好条件なため、主婦からの応募も少なくないという。
「最初は時給が低いですが、仕事を覚えれば上がる…と思って、皆さん頑張る。戦力になってくると、いよいよ上がるだろうと思って、さらに無理をしてくれる。そうやって、低い時給でいかに働いてもらうかが腕の見せどころ。これは騙しているんじゃないですよ。求人広告でも『やる気次第』と、ちゃんと書いてますからね」(Aさん)
※女性セブン2013年11月28日号