今国会でカジノ基本法案が提出される動きを受け、関連企業や自治体がにわかに色めき立っている。
フジテレビのホームページにある、2014年度新卒社員採用コーナーの「各部署のお仕事」というところで、「編成制作局バラエティ制作センター」「報道局」などと並んで「特区事業準備室」なる聞き慣れない部署が紹介されている。
東京都から特区とされた「台場地区」の開発を担うとあるが、具体的に何をするのかは不明。ただ、そこには「フジテレビが今まで手掛けてきた中でも、間違いなく最大級のプロジェクト」という謳い文句とともに、ラスベガスの煌びやかな夜景の写真が掲載されていた──。
これまで幾度となく浮かんでは消えてきた「お台場カジノ構想」が大きく動き始めている。
カジノ解禁の賛成派で構成され、安倍晋三首相も最高顧問として名を連ねる「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連)は今臨時国会で、カジノ基本法案を提出する見通しだ。安倍政権が成長戦略として「観光立国」を重点分野に掲げていたところへ2020年のオリンピック開催が決定したことで、東京を国際観光都市にしようという気運が一気に高まり、「お台場」に白羽の矢が立った。
お台場カジノの中心を担うのが、フジテレビだ。フジは、三井不動産、鹿島建設、日本財団とともに政府の産業競争力会議国家戦略特区ワーキンググループに、「東京臨海副都心(台場エリア)における国際観光拠点の整備~エンターテイメント・リゾート戦略特区~」なる共同提案を提出。計画は非公表だが、三井不動産は11月7日の決算発表の席で、ホテル、国際会議場、そしてカジノを含めた施設であることを認めた。
また、翌8日に発表されたフジ・メディア・ホールディングスの決算説明会資料によれば、「ダイバーシティ東京」の南側に広がる「シンボルプロムナード公園」一帯から、西側にある「船の科学館」までを「広大な開発可能エリア」としている。ずばり、ここがお台場カジノの開発予定地だ。
※週刊ポスト2013年11月29日号