2013年はスタジオジブリ(以下、ジブリ)イヤーといわれている。それは、『となりのトトロ』と『火垂るの墓』(いずれも1988年)以来、25年ぶりに1年で2つのジブリ作品が公開されるからだ。
まずは、宮崎駿さん(72才)が監督を務めた作品『風立ちぬ』(公開中)。『風の谷のナウシカ』(1984年)や『天空の城ラピュタ』(1986年)で自身の代名詞となったファンタジーを封印し、初めて戦争というリアルなテーマに挑戦した。決してファミリー向けとはいえない作品ながらも、“引退”発表も追い風となり、公開4か月で、興行収入がまもなく120億円を突破する大ヒット。現在、今年の映画興行収入ランキング1位に輝いている。
そして、もうひとつが高畑勲さん(78才)が監督を務めた作品『かぐや姫の物語』だ。日本最古の物語『竹取物語』原作の長編アニメで、製作期間8年、製作費は破格の50億円という超大作。『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)以来、14年ぶりにメガホンをとった高畑さんだが、年齢などから、これが実質的な“引退作品”ともいわれている。
ジブリ設立前から、2人と共に作品を作り続けてきた鈴木敏夫プロデューサー(65才)は、2作品に込めた思いをこう打ち明ける。
「宮さん(宮崎さん)は辞めるって言うし、高畑さんは10月に78才になった。2つの映画を合わせた製作費は、通常の日本映画の100本分といわれてしまった(笑い)。
『風立ちぬ』はお陰様で興行収入が120億円ですが、これだけでは実は採算がとれない。ビデオやテレビ放映権を入れて、ようやく黒字になる。『かぐや姫』は、おそらく放映権などを含めても黒字化は厳しいでしょう。
口に出そうかずっと悩んでいたんですけど、この2つの映画は、2人への退職金だと思っているんですよ。ずいぶん高いですけど(笑い)」
1985年の設立以来、移りゆく時代の中で、多くの国民的ヒット映画を作り続けてきたジブリは今年、大きな転換点を迎えている。
※女性セブン2013年12月5日号