1988年から1992年に社会人になった世代、俗にいう「バブル入社」世代は約850万人いる。ドラマ『半沢直樹』では八面六臂の活躍をしたが、現実のバブル入社組の多くは悲哀を味わっている。
日本生産性本部などが行なった新入社員意識調査の結果を経年変化で見ると、「人並み以上に働かなくていい」「仕事より生活が中心」「残業よりデートを優先」と答えた人の割合が1989~1992年のバブル組でピークを迎えた。仕事よりプライベートを重視する価値観への地殻変動がはじめて起こった世代とも言える。
そんな彼らは今、どんな私生活を送っているのか。
彼らの趣味がバブル終焉から約20年でどう変化したかをトヨタマーケティングジャパンと三菱総合研究所が調査(2011年)した結果、意外なほど慎ましい姿が浮かび上がった。
1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』が大ヒット、バブル期と重なって空前のスキーブームに沸いていた1980年代後半、彼らの趣味は1位「お酒」(38.3%)に次いで2位「スキー・スキューバダイビング」(27.3%)、3位「クルマ・ドライブ」(27.0%)だった。
しかし、今は1位「パソコン・インターネット」(63.7%)、2位「国内旅行(温泉など)」(30.5%)、3位「お酒」(28.5%)。40代半ばになれば落ち着くのは当然とも言えるが、派手な流行や娯楽を追いかける様子は見られない。その下は「ウォーキング」や「ペットの世話」、「ガーデニング」などが続き、自宅周辺で事足りる趣味が目立つ。
それもそのはずで、前述のように派手な趣味に費やす金銭的余裕はない。限られた予算のやり繰りで、1か月の飲み代「7152円」、趣味の費用「1万1353円」を何とか捻出しているのが実情だ(前出の新生銀行調査)。
ただし、流行には今も敏感。「スマホ利用実態調査」(アイレップ=2013年)では、1988~1990年に就職したバブル組の9割が「1日1回以上」スマホでネットにアクセスしている。これは今年の新社会人と並ぶ高い数値だ。また、バブル組の4人に1人は「職場のトイレでもスマホが手放せない」と回答する。
この他、「Facebook」の利用率や「モバゲー」や「グリー」などのオンラインゲーム課金率が40代で顕著に高いというデータもある。
※SAPIO2013年12月号