主演した映画『潔く柔く きよくやわく』が不振の長澤まさみ(26才)。彼女にとって久しぶりの純愛作品だったが、今回の路線回帰は失敗だったのだろうか。
同映画は、幼なじみを失った喪失感から立ち直ろうとする男女の希望と再生を描くラブストーリー。原作はベストセラー少女漫画で、東京国際映画祭の特別招待作品に選ばれるなど、公開前から話題を集めていたが、ふたを開けてみれば公開初日2日間での興行収入約8600万円と期待はずれの結果に。
「興収は最終的に4億円台ぐらいに終わるのではないでしょうか。同じ時期公開の上野樹里主演の恋愛映画『陽だまりの彼女』は、すでに興収16億円を突破しています。こちらはベストセラー小説を原作にし、同じ純愛系の作品でありながら、ヒットしています。長澤は大きく差をつけられてしまった格好です」(スポーツ紙映画担当記者)
どうして、こんなにコケてしまったのか。そもそも、今の長澤が求められているのは純愛路線ではない、という声も少なくない。
長澤が2004年に主演した『世界の中心で、愛をさけぶ』は興行収入85億円の大ヒットを記録。長澤はその後、さまざまなドラマ、映画に出演した。セカチューのイメージをひきずった清純系の役も多かった。しかし、なかなか次のヒット作に恵まれなかった。
そんななか、大きくイメージを変えたのが、映画『モテキ』(2011年)だった。濃厚なキスなどこれまでにないセクシーなシーンを体当たりで演じた。この路線がうまくいき、現在放送中のドラマ『都市伝説の女2』(テレビ朝日系)で見せる大胆な美脚も話題を呼んでいたのだが…。
コラムニストのペリー荻野さんはこう語る。
「今回の『潔く柔く』で長澤さんは、キレイだけじゃないものを世の中に求められていたけれど、それに応えられなかった、ということでしょう。米倉涼子さんと比べるとわかりやすいんですけれど、彼女も女優をやり始めたころから路線が変わってきてますが、悪女役をやってから女優として面白くなりましたよね。長澤さんも『モテキ』だけではなく、今後もうひと“爆発”するような作品に巡りあえれば、どんな役をやっても許されるようになる。純愛作品に出ても、ギャップの面白さが絶対に出てきますから」
恋愛映画がかつてほどのヒットを見込めなくなった、という事情もある。
「『世界の中心で、愛をさけぶ』のほか、『いま、会いにゆきます』(2004年)、『恋空』(2007年)など、大きなヒットが生まれた時代もかつてはありました。今も高校生など若い人を主なターゲットとした純愛映画は各映画会社とも毎年、一定の数を製作しています。ただ、7、8年前に比べるとヒットの規模は確実に小さくなっています」(キネマ旬報社エグゼクティブディレクター・掛尾良夫氏)
それなら、そもそも純愛映画に戻るべきではなかったのか。次は『モテキ』のようなセクシー路線か、それとも新境地開拓か。次回作が“勝負”となりそうだ。