テレビ朝日のプロデューサー・I氏(45)が11月19日、下請け制作会社3社に架空の番組制作費を請求させ、1億4000万円余りを私的流用し、懲戒解雇処分を受けた。実はテレ朝社員が不正経理で懲戒解雇されたのは、今回が初めてではない。2006年、当時59歳のチーフプロデューサーが、水増しした制作費から1億3000万円ほど裏金を作り、銀座や海外旅行などで豪遊して解雇されている。
テレ朝社長は当時、「再発防止策に社を挙げて取り組む」と謝罪したが、何ら体質は改まっていなかった。同局は、本人が返済を始めていることから、当面の刑事告訴を見送った。だが、それに異論が噴出している。
テレ朝社会部記者がいう。
「来年4月のホールディングカンパニー体制への移行を前に、コンプライアンスがそんなに甘くて、世間に許されるはずがない。そもそも1億円以上の横領は“返せばいい”というものではない。当然、横領した金は税務上も無申告なので、本人は脱税逮捕に値します。そうなる前に、会社は自ら刑事告発すべきです」
テレ朝が“穏便”に済ませたい理由について、I氏に近い局員が明かす。
「テレ朝と関係が深い超人気ロックバンドの所属会社も今年夏に国税から申告漏れを指摘された。『Mステ』を担当してきた音楽畑のIさんの着服の発覚とタイミングが一致するので関係を指摘する局員がいる。
事件になり当局に徹底的に調査されると、音楽部門の“ドンブリ経理”が、人気バンドに飛び火して迷惑をかけかねないと、上層部は火消しに躍起なのだろう」
※週刊ポスト2013年12月6日号