特にそれを履いて出かけるあてはないけれど新しいブーツを買うお金、ひとりでぼーっとするためのるためのカフェ代。主婦のA子さん(36才)は、月に1万円だけ、そういった費用にあてている。それが、子育てと家事と仕事に追われる毎日の、唯一のストレス解消法なのだ。
結婚後、妊娠を機に仕事を辞め、子育てに専念。しかし、保険代理店を営む夫の収入は不安定だ。それを支えるため、A子さんは、学習塾の事務のパートをしている。月末になると、家計管理のためにつけている家計簿を、夫ものぞき込む。そして、細かなダメ出しが始まる。
「ここ、もっと削れないのか」「無理無理、もう削れないって!」
そんな環境で、それでも1万円を捻出するために、A子さんは実家を活用している。
「毎月、仕送りをしているんですが、実際は2万円の仕送りを、家計簿上は3万円としているんです」
差額の1万円が、A子さんのストレスを解消する。さらに大胆な“臨時収入”もあるという。
「余裕がある月は、『住宅ローンの繰り上げ返済をする』と言って、口座から70万円下ろして、でも、実際に返済に使うのは60万円だけ。繰り上げても、返済期間が短くなるだけで、月々の金額は変わらないので、バレない。とはいえ、何度もできませんが」
そうやってへそくりは増やしても、使うのは月額1万円。
「だってやっぱり夫に申し訳ないとは思っていますから」
たしかに、夫との間に隠しごとを作るのは気が引ける。それでも、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんは、「へそくりはすべき」という。自分だけが知っている貯蓄の存在は、精神的にプラスになるからだ。
「ほんの少しの額でも、些細なイライラは解消されます。へそくりは、夫婦円満の潤滑油になります」(花輪さん)
※女性セブン2013年12月5日号