国内

武田邦彦氏がさとり世代へ提言「酒や煙草は交流を促す嗜み」

酒もタバコもやらず、車やブランド品にも興味なし。一歩進んだ友情や恋愛は面倒くさい――。極めて淡泊なライフスタイルを送る若者たちは「さとり世代」と称され、最近では彼らの冷静沈着で現実的な行動を見直す向きさえある。

 しかし、「無欲ばかりの生活ではギスギスした社会になる」と警鐘を鳴らすのは、『ホンマでっか!?TV』でお馴染み、中部大学教授の武田邦彦氏である。以下、武田氏が語る「人生のクオリティを高める遊びのススメ」を聞こう。

 * * *
 大学の講義で学生たちと向き合っていて感じるのは、最近の学生はとにかく覇気がない。それは、皆が自然に集まって遊ぶことをしなくなったことと無関係ではないでしょう。

 僕の若いころ、すなわち戦後復興、高度成長を経て日本が勢いのあった時代の若者の生活といえば、お酒にタバコ、マージャンにパチンコはほとんどの人がやっていた遊びでした。また、スキーや旅行、バーベキューといったアウトドアも盛んで、大勢の仲間とのインタラクション(相互作用)によって、日々の活力を得ていました。

 それが今はどうでしょう。学生たちとバーベキューをやろうにも、河原はダメ、公園はダメ……。設備が整った専用のバーベキュースペースは大学から遠すぎて、肉を買ってきて皆で一杯やることさえ叶いません。

先日、番組でご一緒したタレントの山口もえさんも同じようなことを言っていました。線香花火をやりたいのに、自宅のベランダでも近所の公園でも禁止されていると。

結局、遊ぶところがどんどんなくなっているから、仕方なくスマホでひとり、黙々と時間をつぶしている。

いまの若者たちをスマホに追いやったのは、大人たちのせいですよ。それでいて、学校でも職場でも「コミュニケーション能力が足りない」なんて非難する。当たり前ですよ。若者たちがコミュニケーションできないような環境に追いやっているんですから。

 酒やタバコといった嗜好品も、健康への悪影響ばかりが指摘されていることもあり、敬遠する若者が増えました。もちろん酒はがぶ飲みすれば急性アルコール中毒になりますし、強い酒を日常的に飲めば肝臓の病気になります。タバコだって長年吸っていればCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や脳卒中のリスクは高まります。

 しかし、酒は昔から「百薬の長」といわれるように、冷えや血行を良くしてストレス解消など体にいい働きがありますし、タバコも精神を安定させ、やはりストレスを開放してくれる。適量であれば明るく健康的な生活が送れるのです。

それなのに、最近は「飲む・飲まない」「吸う・吸わない」という○か×の選択肢しかない風潮になっているから、肯定派と否定派が対立していがみ合う社会になってしまうのです。

 特にタバコの排斥運動はあまりにもヒステリックだと思います。むしろ、タバコはギスギスした社会を緩和させる役目を持ち、人と人とを繋ぐ大切なコミュニケーションツールです。

 かつてアイヌ民族が自ら戦争をしなかったのは、タバコを好んだからと言われています。争いごとが起きそうになったら、まずは座って相手にタバコを勧める。そして、キセルでゆっくりとタバコを吸っているうちに頭がスッキリして気分が穏やかになる。そのうち「まぁ、いいか」と怒りの感情が収まっていったのでしょう。

 いま、日本はこれだけ成熟しているのに、お互いの自由を認め、他人を尊重するという意識が欠けています。だから、多様性を認めずに少数派を排除してしまおうという動きになるのです。

 さとり世代の若者たちは、もしそんな抑圧された社会に不満を溜め込んで発散できないならば、もっと自由に遊んでいい。そして、常に穏やかにユーモアを持って他人と接すれば、より豊かな人生が待っていますよ。

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト