慰安婦問題、竹島不法占拠、パクリ産業……韓国がついてきた「嘘」で日韓関係は悪化の一途を辿っている。国際情報誌『SAPIO』ではその嘘を暴く特集を組んでいる。特集のなかの記事で、悪化した日韓関係について大前研一氏が解説している。その一部を紹介する。
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「日本の占領によって、どんなメリット・デメリットがあったか」というバランスシートを作り、「対日関係の棚卸し」を韓国にさせることは、簡単ではないが、決して不可能ではない。
その理由のひとつは、韓国経済は今でも「日本の素材・部品や機械なしには成り立たない」という事実だ。
韓国に「独自の経済」があると思うのは誤解である。韓国は産業インフラが育たず、自前のエンジン(リバース以外のエンジニアリング)を持っていないため、ほとんどの製品は日本から機械や部品を買ってきて組み立てているだけである。つまり、韓国メーカーは日本の機械と部品がなければ製品を作ることができないのだ。
韓国では技術者のポジションが非常に低く、文系より下に置かれている。これは企業見学に行けばすぐにわかるが、文系の人たちは立派な高層ビルの本社にいるのに、技術者はたいがい工場の2階などの狭苦しいスペースに押し込められている。
技術は長い時間をかけて研究開発してもなかなかペイしないから、買ってこられる機械や部品は買ってくればいい、というのが経営者の考え方なのである。したがって自分たちでイノベーションすることがなく、常に日本の借り物、パクリが伝統になっているわけだ。
言い換えれば、実は日本と韓国は産業構造的に見ると“運命共同体”である。たとえば為替が円高ドル安になったら日本の輸出企業が打撃を受けるが、韓国企業も日本からの機械や部品の買い入れ価格が高くなるから競争力を失う。したがって、韓国が日本から独立して経済的に繁栄するということはあり得ない。
だからこそ日本は韓国に働きかけ、対日関係を棚卸しさせて両国の国益につながる良好な関係を構築すべきなのである。
安倍晋三首相は、自分の信念を叫んで韓国を刺激するだけだが、大切なのは主張するだけではなく、お互いに「作業」を行なうことである。
たとえば、韓国では朝鮮出兵の豊臣秀吉、征韓論の西郷隆盛、初代韓国統監の伊藤博文が“日本の三悪人”と評価されている。しかし、この人たちの日本における評価は全く違うのだから、歴史を日韓の両側から冷静かつ客観的に検証して整理し、「正しい歴史認識」を共有する作業が必要だろう。棚卸し作業を通じて韓国内の“複雑骨折”から生じた反日感情を直していければ、日韓関係をインドとパキスタンのようにしてしまう前に救える可能性がある。
※SAPIO2013年12月号