韓国経済に大きな変調が起きている。サムスンや現代自動車といったリーディングカンパニーが次々失速、ウォン安を武器に輸出で稼いできたが、ウォン高が進んだことで、国際競争力も低下している。貿易依存度の高い韓国にとっては大打撃で、経済崩壊も現実味を帯びている。
隣国・韓国の経済が崩壊すれば、日本への影響も甚大になるのでは──そんな懸念を抱くかもしれないが、実際のところはほとんど影響がない。
「たしかに韓国メーカーは日本の部品メーカーのお得意先。しかし韓国メーカーがつぶれても、日本製の部品を欲しがる会社は世界中にある。シャープなど息を吹き返した国内企業も買う。
サムスンや現代自動車は日本の部品がなければ製品を作れないが、逆に韓国から入ってくるのは雑貨類などの安いものばかり。日本からすればどこでも代替がきくのでまったく困らない」(韓国経済に詳しい評論家の室谷克実氏)
事実、1997年の通貨危機で韓国経済が破綻寸前となった時も、日本に危機的状況はまったく発生しなかった。
通貨危機によってIMF(国際通貨基金)の管理下に入った韓国の経済が回復したのは他ならぬ日本の支援のおかげだが、韓国側は日本への感謝の意を表さず、国民は自力で復活したと思い込み、日本への“敵視”をエスカレートさせているのだから始末が悪い。
実際、最近の韓国は「日本の援助などいらない」という強気なポーズを取り続けている。緊急時にそれぞれの通貨を融通しあう通貨スワップは日本にはほとんどメリットがなく、韓国救済が目的といっていい。ところが、なぜか韓国側がこれに難癖をつけている。
「2011年には700億ドルに増額していた日韓スワップですが、2012年10月に韓国が難癖をつけて延長せず、再び30億に。そして今年7月に日韓通貨スワップはなくなった。まだ残っているのは2003年のチェンマイ・イニシアチブの分の100億ドルだが、20億を超えるとIMFの管理が入るので実質20億が上限。これも再来年2月で切れることになる」(経済評論家の上念司氏)
困った時には救いの手を求め、困った状況から脱したとたんに「バカにするな」といってその手をはたく。なんとも迷惑な相手である。
※週刊ポスト2013年12月13日号