なぜかいま、掃除する経営者が増えている。「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する(株)壱番屋(愛知県一宮市)創業者・特別顧問・宗次徳二さん(65)もその一人だ。
「台風の日も大雨の日も毎日やります。『今日やろうかな、どうしようかな、う~む』と悩むロスを省きたいですから(笑い)」(宗次さん)
名古屋は栄の目抜き通り413m。ゴミを拾うのと、雑草を抜くのと、花を植えるのが「趣味」だ。始めた理由はこの地にクラシック音楽のホールを建設したこと。栄駅からホールまでを毎日掃除しようと思い立ち、以来6年、朝6時半から8時まで行なわれるこの趣味は、市長の公認をもらい、水やり用の蛇口を市がつけてくれるまでになった。
「掃除をして悪いことはひとつもない、ただ辛いだけです。他人に勧めても、まあやらないですよね(笑い)。それでもいいんです。花が咲いていても気づかない人だっているんです。掃除をやるのはその地に根を下ろすこと、心がこもっているということの表現。実は掃除には即効性はないけれど、ジワジワ姿勢がよくなってくるんですよ」(同前)
猛スピードで車が行き交う4車線道路の中央分離帯に咲く花は見事なパンジー7000ポッド。カレー店だけに、植える花は黄色だと決めているそうだ。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2013年12月13日号