AGE(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)は、加熱でタンパク質に糖がくっついて生成される物質で、老化に深く関わっている。
AGEは、食品化学の分野で発見された。約100年前のことである。加熱調理すると、焼き目やこげ目がつく。この茶色の焼き目の所にある物質がAGEで、風味や香りに関わっており、調理方法によって形成のされ方が大きく違ってくる。どのくらいの温度で調理すると食品が香ばしく仕上がるのか、どこまで加熱すると日持ちが良くなるのかなど研究が進められてきた。
AGEが医学の分野で注目され始めたのは、1980年の初め頃だ。当時、糖尿病を患った人は、老化が早く進むことも知られていた。
AGE研究の第一人者である久留米大学医学部糖尿病性血管合併症病態・治療学の山岸昌一教授に話を聞いた。
「糖尿病で高血糖が続くと、身体の中で作られ溜まってくるものがあります。この物質の蓄積によって老化が進行するのではないかとの説が提唱されてきました。どうもAGEが、この老化の原因物質らしいと分かりました」
AGEの悪影響は、糖尿病でない一般の人にも及ぶため、山岸教授が中心となり、全国4017人を対象にAGE測定と食・生活習慣のアンケート調査を実施した。
「皮膚に溜まっているAGEを特殊な機械で計測しました。その結果、加齢とともにAGEが溜まってくることが確認されました。しかし、同じ年の方でも食・生活習慣の違いによって、AGEの溜まり方に違いがあることも分かりました。食・生活習慣が最も良い人と悪い人とでは、AGEの溜まり方に14年分の差があります。つまり、歪んだ生活習慣の人たちは、実年齢以上に老化が進んでいるということです」(山岸教授)
調査によると、揚げ物や加工食品好き、ストレスを抱えている人、生野菜を食べない人たちなどで、AGEの蓄積が顕著だという。
唐揚げやステーキよりも、しゃぶしゃぶのほうが、AGEが少ない。また食事の初めに野菜を食べたり、酢のものなどと一緒におかずを食べたりするとAGEの蓄積が抑えられる。アンチAGEこそが健康の秘訣といえそうだ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2013年12月13日号