米国精神医学会は「精神的苦痛は訴えるが、精神疾患とまで診断できない若年者に対しては『まず薬』で対処してはいけない」と警告を鳴らし、これまで必要とされていたと思い込まれていた医療行為を追放しようとしている。
クリニック釈羅(精神科)の中西昭憲・院長の話。
「本来、カウンセリングが重要であることは明白です。ですが、医師はカウンセリングだけでは治療費が取りにくく、それを行なう時間的、経済的余裕もないから、薬剤で解決する傾向が強くなる。
日本では、10代の患者の9割近くに処方しているのが現状でしょう。米国の学会の指摘通り、必ず数%にろれつが回らなくなる、震えが出るなどの副作用が出る。
だから、日本でも若者には安易に薬で解決するのではなく、長期的視点でカウンセリングのような治療を勧める考えを定着させるべきです」
●企画・取材/室井一辰(医療経済ジャーナリスト)
※週刊ポスト2013年12月13日号