夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、住宅メーカー勤務のご主人(43歳)。奥様(43歳)との間には中学生と小学生の娘さんがいます。
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11月17日は長女の誕生日。自宅近くの駅前に、手ごねハンバーグのおいしいレストランがオープンしたので、予約して家族4人で出掛けました。店では誕生日ケーキを用意してくれていて、「ハッピーバースデー」を合唱した後、食事の注文。
まずは妻が「私、手込めにしてください」。聞いて後ずさりの店長。僕が「江戸時代の代官と村娘じゃないんだからさ、手込めはないだろう」というと、「アッ、間違えた。手揉みにしてください」。僕の「マッサージかよっ!」というツッコミに、周りのお客さんも大爆笑。「ちょっと言い過ぎたかな」と妻の顔を見ると、唇を震わせ、眉毛が額のてっぺんまでつり上がっています。
「何よ、ちょっと言い間違えただけでしょ! 大体、アナタって性格悪いのよ。私の誕生日プレゼントに『新しい台所用品がいいんだろう』と去年は『ルクルーゼ』の寸胴鍋、今年は『ジョセフジョセフ』のまな板をくれたけど、それって私の胴が寸胴で、胸がまな板のようにペチャパイだからでしょ! アッタマ来たから帰る」
「ママ、待って!」。泣きベソで後を追う娘たち。従業員とお客さんに頭を下げまくった僕ですが、翌日の出勤時、駅売店のおばさんが「聞きましたよ! 昨日、大変だったんですってね」。その翌日は顔馴染みの駅員が「聞きましたよ」。……翌日から一つ先の駅まで歩いて出勤の僕なのです。
※週刊ポスト2013年12月20・27日号