日本漢字能力検定協会主催の「今年の漢字」は、一年間の世相を漢字一文字で表わすもの。一般からの応募の中から、数が最も多いものが選ばれている。先日、記者が取材先で「今年はどんな漢字になりますかねえ」と、何気なく言葉を発したところ、不思議な答えが返ってきた。
「今のところ『硬』と『健』がほぼ同数で拮抗しているんですよ。とはいえ『漲』とか『起』も目立ちますね」
こういうのは、小林製薬の通販事業部・健康食品担当の中川広宣氏だ。
「『硬』とか『健』とか、そんな事件や出来事、2013年にありました?」記者がこう質問すると、謎は簡単に解けた。
中川氏は『エディケア』などの男性活力系サプリの担当をしており、サプリメントの購入者に対する定期刊行物『エディケアステーション』の編集長でもある。
「勘違いしないでください。この漢字はうちの会社独自のデータです。『エディケア』のユーザーさんから多数、寄せられた『漢字る一字』の話です」
えっ? 『漢字る一字』ですか。
「はい。お客様の『実感』を漢字一文字で表現いただいているんです」
この『エディケアステーション』だが、年4回刊行される情報誌。「活力謎かけ」「活力川柳」といった、ひと癖ある、独自の投稿があり、本誌でも何回か紹介したことがある。その新しいネタが「漢字る一字」というわけだ。例えばこれは、京都府の60歳の男性の投稿。
「硬」……60歳ですが、若いときの硬さが戻りました。
そして、千葉県の76歳男性の投稿。
「漲」(みなぎる)……青春のはち切れるような硬さ、痛さが蘇る様子を一言で。
こうした、猛々しい、漲った、元気ハツラツな「漢字る一字」が並んでいるのだ。様々な事件・事故・天変地異に翻弄された一年だったが、あなたの個人的な漢字一字くらいは、こういった前向きで明るいものにしてみてはいかがなものだろうか。
※週刊ポスト2013年12月20・27日号