現在、日韓間では歴史認識を巡って数々の火種が存在するが、今をさかのぼること20年以上前の1991年に、両国が歴史認識で争うという内容の長編小説を執筆したのが作家の井沢元彦氏だ。その作品『恨の法廷』では、朝鮮民族特有の「恨」という感情を解説した井沢氏が、韓国の言論事情について解説する。
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韓国では真実の歴史を語ろうとすると、黙殺されるばかりか、ときに弾圧される。作家・金完燮氏のケースは有名だ。
氏はもともと強い反日感情を持っていたが、海外留学によって客観的な物の見方を身につけ、2002年に朝鮮半島の近代化に対する日本の貢献を評価した『親日派のための弁明』を刊行したが、政府の検閲機関によって「青少年有害図書」に指定されてしまった。
著書の中で「慈悲深い国母」といったイメージで語られる李氏朝鮮の妃・閔妃を批判したところ、遺族から「名誉毀損」「外患扇動」で告訴され、逮捕されてしまった(のちに釈放)。
果たして、そのような国でまともな歴史を論じることが可能だろうか。日韓共同歴史教科書などブラックジョークである。
※週刊ポスト2013年12月20・27日号