11月16日の読売新聞に、NHKの朝の看板番組『おはよう日本』に関するこんな投稿が掲載された。
「アナウンサーが民放の人たちと同じようにふざけたり、つまらないギャグを言ったりするのはやめてほしい。(中略)朝から軽すぎるのも腹立たしいので、NHKらしくしてほしい」
50代の主婦からの痛烈な“苦情”は、読者の間に波紋を広げた。12月1日付の同紙で「41通もの反響があった」と再び記事となり、中には「そういうたぐいのトークが始まると、チャンネルを変更している」「民放が軽すぎるからNHKを見ているのに」という声も寄せられている。
そもそも、『おはよう日本』はお堅いニュース番組だったはずだが、いったいどこで「つまらないギャグ」が飛び出すというのか。新聞に投稿があった日から数日遡って放送を見返すと、間もなく視聴者たちの“イライラの元凶”が浮かび上がった。
それは同番組の6時台後半の『まちかど情報室』というコーナー。鹿島綾乃アナが、鈴木奈穂子アナとともに折々の便利グッズを紹介するひとときなのだが、たしかにこの鹿島アナの言動がNHKらしくない。
「(女性用ひざ掛けを紹介して)暖簾なんです。暖簾としても使えるんです。ウソです」
と、突然何の脈絡もなくウソをついたかと思いきや、「ウソです」を連発。確かに“今流行っているギャグか何かなのか?”と視聴者が困惑している様子が想像に難くない暴走っぷりだ。
別の日の『情報室』は巨大ダイヤモンドが73億円で落札されたニュースに続いて始まった。冒頭で鹿島アナがこう言い放つ。
「私も欲しいです。あのニュースを読んだ池田アナウンサーが買ってくれたらいいですよね。センパーイ!」
と画面に映っていない先輩アナをいじる完全な内輪ネタ。現場のスタッフは笑えるのかもしれないが、池田アナをよく知らない視聴者にとっては見ていても笑うに笑えない。堅いイメージを払拭すべく民放の雰囲気を真似しているつもりだろうが、そもそもNHKにそんな面白さを期待する人がいるのだろうか。
※週刊ポスト2013年12月20・27日号