中国では北京や上海などの大都市ばかりでなく、最近では北部の黒竜江省ハルビン、陝西省など内陸部の各都市でもPM2.5(微少粒子状物質)による大気汚染が悪化しているが、米政府は北京の米国大使館や上海、重慶などの総領事館などの公館で働く米政府職員のために1000台もの空気清浄機の購入を決めた。
米政府は中国各都市に在住の米国人にも空気清浄機の購入を勧めており、その数は最大で5000台にも上る。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、米大使館などが空気清浄機の一括購入を決めたのは米国議会が中国に派遣した大気汚染調査団の調査結果を重視したためだ。
調査によると、今年1月の北京のPM2.5による大気汚染が世界保健機関(WHO)の定めた健康に危害が及ぶ数値の40倍以上に達したと報告されている。さらに、上海や広州、重慶などの大都市も同水準だとしているほか、冬場は地方都市でも石炭による暖房が増えることから、大気汚染は最悪と強調している。
調査団の報告を受けた米議会では、中国在住の米国民の健康悪化を懸念し、空気清浄機の必要性を訴えたほか、米国大使館など中国の公館に勤務する米政府職員に空気清浄機を支給する緊急措置を採った。
米国大使館では空気清浄機のメーカーをスイスに本社を置くブルーエア社の製品に決定。まず1000台を購入し、大使館員らに支給した。この決定を受けて、中国在住の米国民にも同社製品を購入する動きが広がった。
同社の中国地区担当者によると、この1年間で、中国の50以上の都市に住む米国人からすでに5000台もの注文を受けていることを明らかにした。この担当者は正確な売り上げ高を明らかにしなかったが、最も売れている機種の値段は中国元で6174元(約10万円)。さらに1万2000元(約20万円)もの最高級品も売れ行きが良いとコメントしている。
10万円の機種が5000台売れたと計算しても合計で5億円に達するだけに、担当者はそれこそ降って湧いたような“PM2.5特需”でホクホク顔だという。