みずほ銀行の不正融資問題で分かったことは、私たちが暴力団の実態を何も知らないということだ。彼らに通常の世論調査のような質問を投げかけたら、どのような返事が返ってくるのだろう? 暴力団を長く取材する鈴木智彦氏が100人の現役ヤクザに質問をぶつけてみた。
なお、調査は12月7日から14日まで行われ、1週間で100人を対象とした。調査はすべて電話か対面で質問し、北海道から沖縄まで意識的に広いエリアを設定。対象は山口組、住吉会、稲川会といった広域団体をはじめ、全国の指定暴力団に限定してある。
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【問1】「景気は回復していると思いますか?」
【回答】「はい」6% 「いいえ」94%
アベノミクスの恩恵は、全く暴力団に届いていない。暴力団の言い分はこうだ。「今のヤクザの景気は飛行機の尾翼だ。上がるのは最後で落ちる時は最初」(56歳、東京)。暴力団員の9割以上が不景気だと感じている事実は、社会全体に景気回復の兆しが浸透していないことを意味するのかもしれない。
【問2】「安倍政権を支持しますか?」
【回答】「はい」19% 「いいえ」81%
暴力団の政治信条は完全なる保守右派で、原則、国家のために忠誠を誓う。原発事故も東電擁護で、反原発運動を「馬鹿げた話。いざというとき原子力発電がなかったら国が成り立たない。だったら電気を使うなと言いたい」(57歳、東北)と一蹴する。その背景にはヤクザという存在が国家のお目こぼしによって成立してきた事情がある。
ならば安倍内閣の支持率は高そうだが、質問してみると8割以上が不支持で、世論調査の半分以下の支持率しかない。しかしその理由を聞いてみると、「目が死んでる。線が細すぎる。死ぬ気でやってるとは思えない。本気で喧嘩が出来るようにも見えない」(65歳、中国)。独善的で根拠の薄い批判は、しかし彼らの経験則に基づいてはいる。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号