風邪やインフルエンザが本格的に流行するこれからの季節、機能性食品で免疫アップを考えている人も多いのではないだろうか。11月、注目の研究結果が日本ウイルス学会で発表された。新世代乳酸菌のひとつである『プラズマ乳酸菌』が、免疫細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(以下、プラズマ細胞)を活性化し、冬季の風邪・インフルエンザ様疾患の発症抑制を行うことがわかったのだ。
発表された試験結果によれば、プラズマ乳酸菌を含むヨーグルト飲料と含まない飲料を摂取したところ、風邪・インフルエンザ様疾患の累積罹患者数に差が認められた。
この研究では、30~59才までの男女約200人を対象とした試験を実施。対象者を2つのグループに分け、プラズマ乳酸菌を含むヨーグルト飲料とプラズマ乳酸菌を含まない飲料をそれぞれ70日間摂取させたところ、後者のグループで風邪の累積罹患者数は14名だったのに対し、プラズマ乳酸菌を飲んだグループは半分の7名だった。
上記の試験は、飲料メーカーのキリンと国立感染症研究所・インフルエンザウイルス研究センターが共同で実施したもの。研究を手がけたキリン基盤技術研究所の藤原大介さんに、プラズマ乳酸菌を摂取したグループになぜ、風邪・インフルエンザ様疾患の累積罹患者数が少なかったのかについて説明してもらった。
「どんな乳酸菌でもウイルスに関係した免疫の一部を活性化できます。しかし、プラズマ乳酸菌はウイルスに関係する免疫全体の“司令塔”ともいえるプラズマ細胞にアプローチします。その結果、ウイルスに関係する免疫全体がウイルスに対して一斉に包囲網を敷くことで、ウイルス防御機能は強化されると考えられています。実際、今回の研究でもプラズマ乳酸菌を摂取した人の血液は、インフルエンザウイルスに対して反応性が高まっていることが示唆されています。」
近年は、ヨーグルトに代表される乳酸菌の注目度が高まっており、前述の試験結果で高い効果を期待できるプラズマ乳酸菌を含む飲料も登場している。
「乳酸菌に関する考え方は、この10年で大きく変化しました。以前は整腸作用に特化したものがほとんどでしたが、近年では免疫効果に着目した乳酸菌が次々に登場しています」。
こう語るのは、栄養士の佐藤秀美さんだ。
腸内環境の改善に関わる機能性食品の種類は大きく分けて3つある。一般的に知られているのが、直接腸内環境を改善する『プロバイオティクス』(ヨーグルトなどに含まれる生きた菌)と、腸内の善玉菌のエサとなる『プレバイオティクス』(オリゴ糖などを含む食品)。そして今、“新世代乳酸菌”としてもっとも注目されているのがプラズマ乳酸菌などの『バイオジェニックス』だ。
「現在、食品に利用されている乳酸菌は、種類を問わず健康をもたらしてくれる成分です。しかし、それぞれの働きがここまで明確になった今、特定の健康効果を求めて、自分に必要な乳酸菌を選ぶのも健康法のひとつだと思います」(佐藤さん)
この冬は積極的に免疫アップに取り組みたい。