国内

面接重視の大学入試「低学力の大学生だらけになる」との警告

 5~6年後をメドに現行の大学入試センター試験が改編され、「ペーパーテスト重視の点数主義から面接重視の人物本位へ」「複数回チャレンジ可能」を柱とする新制度へ変更される見通しだ。しかし、大前研一氏は間違った入試改革が日本を“衰弱死”に追い込むと話す。以下、大前氏の解説だ。

 * * *
 18歳人口減少に伴い各大学が学科試験ではなく面接や小論文などで合格者を選抜する推薦入試やAO(アドミッションズ・オフィス)入試の導入を推進したため、今や大学生の半数が推薦入学者という事態になっている。

 その結果、とんでもない“未熟児”が大学に入ってきている。

 実は、私が学長を務める日本初のオンライン大学「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」は、インターネットによる遠隔教育プログラムを提携高校に提供しているが、東京都内の一流大学からもその数学の教材を提供してほしい、という要請を受けている。

 理由を聞いてみると、推薦入試・AO入試などで大学に入学しても高校卒業レベルの学力がない学生が多く、とくに数II・数IIIおよび、これらの科目で習う微分積分を前提とする物理が不可欠な理工系学部で大学の授業が成り立たない状態になっているのだという。

 その補習用に、理工系学生に先の高校の教材を使って「大学の授業」が開始できるようにしようというのが実態なのだ。

 このうえ「点数主義から人物本位へ」と言って、推薦入試・AO入試だけでなく一般入試でも面接を重視するようになったら、さらに低学力の大学生だらけになるのは火を見るよりも明らかだ。

 先進国が理数系に再回帰している中で、そこから「世界に出て競争力のある人材」など生まれるわけがない。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン