芸能

有働由美子の「ごち受け」 毎朝やるのは行き過ぎと女性作家

 いかに番組を宣伝するか、はテレビに携わる人にとって重要なテーマだ。しかし、視聴者の側からするとそれが逆の効果として映ることもある。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」もスタートから早3か月、折り返し地点へ。前半の期間平均視聴率(全話平均)が22.2%を記録し、なんと過去10年間の朝ドラで暫定1位と絶好調。

 それはそうでしょう。キムラ緑子、近藤正臣、高畑充希、宮崎美子……味わいのある役者陣。ストーリーもさることながら、随所に際立つ日本的季節感と生活感がいい。

 冬至の頃には、カボチャの煮物。おせち料理には、黒豆、叩きごぼうにきんとん。季節感や年中行事をリスペクトした料理が高い評価を得ています。

 それだけじゃなく、生活まわりの小道具もリアル。目がいき届いている。手作りのハタキ、アロエの鉢植、鉄瓶、油紙の包みにかけられた麻糸。当時の生活をいきいきと再現するために、障子からこぼれる光の筋ひとつ、手を抜かない演出がすばらしい。

 紬に小紋、銘仙、友禅、博多織。着物のバリエーションも、目を惹きます。「和服に憧れて着てみたくなる」「毎朝、今日はどんな着物が見られるか楽しみ」という声を耳にします。

 ひとつの食べ物の中に、「栄養」という機能だけでなく、季節の表情や、人が幸せに生きていく祈りまでが込められている日本の生活文化。現代人が知らなかったさまざまな魅力を上手に際立たせて、見せくれる演出が、多くの人を惹きつけているのでしょう。

 それだけに……残念。3つの「行き過ぎ」が気になるのです。

 まず、め以子役・杏の表情の「行き過ぎ」。いつもいつも口びるを尖らせている。「口先」だけでセリフを言うので、感情が伝わってこないし、表情も不足がち。来年はそのあたり、なんとかならないでしょうか。

 2つ目に、「いけず」を描くシーンの「行き過ぎ」。生まれてくる赤ん坊に産着とおむつを送った小姑・和枝。ところが、中を広げてみると糸の端が留めていない…。この縫い方はまさしく死装束の経帷子(きょうかたびら)と同じ。

「オネエちゃんの呪いだ!」

 経帷子は「この世に留まることが無いように」「迷って帰って来ないように」という意味を込めて、帰し針をせず、糸の端を結ばない。そんな日本の慣習を使って、出産間近の義理の妹に意地悪をするシーン。これには非難の声がネット上にも溢れていました。

 今回だけでなく、和枝のいけずシーンには時々、「いけず」を通り越した「行き過ぎ」が。

 「いけず」とは、一般的に関西地域で「意地悪」の意味で使われていますが、「周到に計算された底意地の悪さ」「人を陥れる残酷さ」というほど強烈な意味の言葉ではないはず。いくらドラマとはいえ、赤ん坊に死装束という行き過ぎた「いけず」シーンはいただけません。

関連記事

トピックス

現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
大の里、大谷
来場所綱取りの大関・大の里は「角界の大谷翔平」か やくみつる氏が説く「共通点は慎重で卒がないインタビュー。面白くないが、それでいい」
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
CM界でも特大ホームラン連発の大谷翔平
【CM界でも圧倒的な存在感の大谷翔平】「愛妻家」のイメージで安定感もアップ、家庭用品やベビー用品のCM出演にも期待
女性セブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン