新しい年を迎えた日本にとって外交上、大きな課題となるのは日韓関係にほかならない。ジャーナリストの櫻井よしこ氏と評論家の呉善花(オ・ソンファ)氏が、反日の根底にある韓国人の性質を明らかにし、我々はどう対峙すべきかを論じた。
櫻井:昨年2月に朴槿惠(パククネ)大統領が誕生した時は、父親の朴正煕(パクチョンヒ)元大統領が親日的だったと見られていたこともあり、日本人の間には関係改善への期待が高まりました。ところがその期待は完全に裏切られた形になっています。呉善花さんは韓国の反日の動きをどう見ていますか。
呉:過去の大統領は就任当初は親日的で、支持率が落ちてくると反日的になるのが常でした。ところが朴大統領は最初から強硬な反日路線を取りました。だから日本人は驚いたわけですが、私は数年前から、朴大統領は反日的だと言い続けてきました。
櫻井:その根拠は?
呉:大統領は61歳です。韓国では60歳前後から下は徹底した反日教育を受けてきた世代。その反日教育を行なったのが父親の朴正煕元大統領でした。彼は対外的には親日的な姿勢を見せながら、国内では反日だったのです。
櫻井:この根深い韓国人の反日感情は、どこから来ているのでしょう。
呉:「日本のことがわからない」ことが根底にあります。例えば文明国でこれだけの近代国家なのに、“なぜ訳のわからない神々を信じているのか”というのもその一つです。他の文明国はキリスト教文化圏だったり、絶対唯一の神を信仰していたりします。
韓国の儒教では先祖を敬っています。科学や文明が発達するのは、そういう国々だと考えているのです。八百万の神々がいるという日本は未開の国であるはずだと考え、どうして近代化したのか理解できないのです。
櫻井:日本人は自然界を大きな神ととらえ、人間はその自然の中の小さな一部だと受け止めています。海や山、樹木や動物、昆虫にいたるまで、すべてが調和することが幸せな状態だという考え方ですね。物の理、物理は科学の基本ですが、日本人はその物の理をそのまま受け入れています。だからこそ、素晴らしい科学も生み出すことができたと私は思います。
呉:そこが韓国の人には理解できないのです。「美しいもの」「良いもの」という価値観も一元的なものですから、日本人が「人それぞれ」というのがよくわからない。私も以前はそこで一番悩んで、日本人のように多様性がある価値観の世界を理解するにはずいぶん時間がかかりました。
儒教では自然万物の上に人間が置かれている。順番で言えば動物はその次で、植物は順番にも入らない。だから、山や石や木にまで魂が宿っているなんてとんでもないことだと。
理解できないから不安になり、「彼らは未開だから、叩き続けておかないといつ暴れ出すかわからない」と考える。「反日」というより一段低く見て蔑む「侮日」が根源にあるのです。
※SAPIO2014年2月号