小泉脱原発発言で揺れた永田町。政治の世界を裏の裏まで知り尽くした政界OB、村上正邦氏(元自民・80歳)、平野貞夫氏(元民主・77歳)、筆坂秀世氏(元共産・65歳)の3人が、議論を交わした。
──現役政治家に代わって、小泉元首相の「原発ゼロ」発言が話題になったが。
筆坂:私は、そんなにインパクトを与えたと思ってない。要は、元総理で人気のあった小泉さんがいったから、マスコミが騒ぎ、社民党から共産党まで喜んじゃったというだけの話。
村上:私らも政界OBだけど、発言したって箸にも棒にも……(笑い)。しかし彼は、どういえば受けるか、絶妙な秘技を心得ている。あの発言も深い考えがあるわけではなくて、世間が驚愕することをいうことに意味があって、そこは天才的なんだよ。「反対だ、捨て場がないんだから」って単純で明解だけど、これ以上、議論するつもりはないんだ。
平野:専門家が考えることだっていってたもんね。
筆坂:それは当たり前の話。
平野:脱原発に関しては、私から紹介したい技術があるんですよ。昔、似非科学といわれた低温核融合が、実証実験で成功しつつあるんです。セシウム137の半減期は30年なんですが、この技術でそれを2か月ぐらいに短縮できる可能性がある。核廃棄物を無害化して別のエネルギーに転換できるんです。この1月か2月には学術論文が発表される。だけど、これをいくらマスコミや学者に話しても耳を貸そうとしない。
【プロフィール】
●村上正邦(むらかみ・まさくに):1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。
●平野貞夫(ひらの・さだお):1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。
●筆坂秀世(ふでさか・ひでよ):1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部会委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2014年1月17日号