今年は平年より寒い冬になる見通しだ。気象庁地球環境部の藤川典久予報官(季節予報担当)は言う。
「寒気と暖気の境目を流れる偏西風が日本列島付近で南に蛇行しているため、大陸の寒気が日本の上空に流れ込みやすい状態が続く見込みです。北極周辺の大気の動きによっては、寒気がさらに強まることも予想されます」
東京に寒波が襲来、大雪が降る可能性を三上岳彦・帝京大学教授(気候学)が指摘する。
「西高東低の冬型の気圧配置が強まった時には、日本海側に大雪が降りやすい。これに対し、首都圏では東シナ海に発生した低気圧が日本列島の南岸沖を発達しながら東に進み、そこに北から寒気が流れ込んだ時に雪となります。昨年1月14日に横浜で13cm、東京、千葉でも8cmの雪が降りましたが、これも関東南岸沖の低気圧が急速に発達し、関東平野に寒気が吹き込んだためでした」
急速に発達する低気圧のうち、24時間で中心気圧が24ヘクトパスカル以上下降する低気圧のことを「爆弾低気圧」と呼ぶ。大雪、大雨、強風など大荒れとなり、防災上、特に警戒が必要な低気圧とされている。昨年1月に雪を降らせた低気圧は24時間に気圧が36ヘクトパスカルも低下した台風並みの爆弾低気圧だった。
『面白いほどよくわかる気象の仕組み』(日本文芸社刊)の著者で、科学ジャーナリストの大宮信光氏は次のように警告する。
「日本列島の太平洋沿岸を北上する黒潮が大蛇行する冬は、そうでない時に比べ、東京に雪が降る確率が高くなるというデータがあります。海面温度の分布が変わり、低気圧の進行コースが沖合にずれ、東京に雪が降りやすい気象条件になるからだと言われています。
今冬は黒潮の大蛇行が続いています。日本列島上空に強い寒気が居座り、1月から2月にかけて台風並みの爆弾低気圧が襲来すれば、東京に記録的な大雪が降ることは十分考えられます」
※SAPIO2014年2月号