異例ずくめで開催された英ロンドン大英博物館の「大春画展」(2013年10月3日~2014年1月5日)には長蛇の列ができていた。
通常、大英の常設展は無料だが、今回は7ポンド(約1200円)の入場料を徴収。さらに16歳未満は保護者同伴という、大英で初めてとなる年齢制限まで設けた。それでも、会場は連日大勢の客で賑わい、時間帯によっては入場制限がかかるほどの盛況ぶりだった。
メディアの評価も軒並み高く、英大手紙「ガーディアン」は5段階評価で4を付けた。過去に5は出たことがないので、最高ランクの評価を受けたといえる。
特別学芸員として同展のプロジェクトに参加していた、立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェローの石上阿希氏がいう。
「開催前は色眼鏡で見ていた現地メディアも、いざ幕が上がると春画の魅力に触れ、文化的側面や美術品としての価値について報じるようになりました。西洋のポルノグラフィの概念と異なる、人間の性の本質的な悦びが描かれた芸術作品だと理解してくれました。
展覧会では、春画がピカソなどの西洋絵画に与えた影響も注目されました。話題性だけではなく、学術的価値の高い展覧会だと捉えられたことも、高評価につながったんだと思います」
※週刊ポスト2014年1月31日号