強くて、かつ、はっちゃけたパフォーマンス棋士が、お堅い将棋界をかき回しているのをご存じか。写真で何やら“お帽子”を脱着中なのは、佐藤紳哉六段。
「プロ入り時は『歌って踊れる将棋指し』がコンセプトでしたが、音痴でリズム感が悪いのでちょっと厳しかった。そこに、“諸問題”が髪に起きて、イケメン路線を変えなければならなくなりまして」(佐藤六段)
大盤解説会で、「この駒の頭に何かを打つといいですね」と局面解説すると、客は手拍子とともに“頭コール”。すると彼は、ゆっくりカツラを外して、場内の盛り上がりは最高潮に!! というカツラパフォーマンスがすっかり定着し、将棋界の輝ける存在に。
3月には人間対コンピュータで競う『将棋電王戦』の大一番が待つが、「カツラは蒸れるし、ズレる心配があるので、持ち時間5時間の対局では着用を迷います(笑い)」(同前)。
ともすれば誰かに怒られそうだが、「将棋に触れるきっかけになれば」との気持ちは、先輩棋士からも大いに認められているというから、これもまた一興。
●佐藤紳哉(さとう・しんや):1997年、20歳でプロ入り。2005年に勝率1位賞と新人賞を同時受賞し、現在は六段。序盤から長考するのが棋風。電王戦第二局(3月22日、両国国技館)に登場する。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年1月31日号