日本人が知らないところで、日本は中国に歴史認識で“論破”されたことにされている。「靖国参拝をめぐりドイツで日中外交官が舌戦、勝利の中国に拍手『日本は落胆して退場』」(香港・文匯報)──中国メディアはこのニュースを世界に拡散しようとしている。
中国メディアの報道によると、1月15日に在ミュンヘン中国大使館が開いた記者発表会に、日本総領事が出席しており、靖国の話になったという。
そこで日本総領事が「安倍首相の靖国訪問は、平和への姿勢を示すものです」と訴えたところ、中国大使が「A級戦犯に対して敬意を表する靖国神社を参拝することが、平和を願う姿勢であるとは思えないし、日本が真摯な態度で歴史への態度を示しているとは感じられない。日本の政治家は、ドイツを手本にしてもっと学んでほしい」と徹底反論。
これにぐうの音も出なくなった日本総領事は途中退場し、会場は“中国の勝利”に惜しみない拍手を送ったというのだ。
両者のやり取り、日本総領事の退場、そして会場の拍手はすべて映像に収められ、中国国営放送CCTVがネット配信し、世界に喧伝している。これについて外務省はどう認識しているのか。
「中国メディアで報じられている内容は事実とは異なります。総領事は靖国参拝の意図などを説明するとともに、中国の軍事費の増加や防空識別区設定の意図等についても質問したが、中国大使は正面から答えることなく、日本批判を展開した。同一人物による再質問は許可されておらず、総領事はこれ以上の発言は不可能と判断した。
また、講演の最後には儀礼的に聴衆から中国大使に対する拍手が起きるだろうから、その場にとどまることは適切ではないと考え、不満の意を表すために途中で退席した」(外務省報道課)
中国のデマだと怒り心頭なのだ。中国は常にこうした謀略を仕掛けようとしている。
※週刊ポスト2014年2月7日号