朴槿恵(パク・クネ)大統領の“大暴走”で、韓国の反日外交は新たなステージに入ったようだ。
この1月19日、中国黒竜江省のハルビン駅で、ある式典が行なわれた。およそ100年前、初代韓国統監だった伊藤博文は、この駅構内で銃撃を受けて殺害されたが、その暗殺の現場に、実行犯である安重根を讃えた「安重根義士記念館」が開館したのだ。中国ウォッチャーの評論家、宮崎正弘氏はいう。
「中国では、安重根はまったく知られていません。その人物の記念館がなぜできたのかというと、習近平国家主席にとっても反日が大きなテーマだからです。朴槿恵大統領が昨年6月に訪中した際、習近平国家主席に石碑の建立を要請し、これに中国側が便乗して実現したもので、中国の反日と韓国の反日が手を結んだ結果であり、韓国の反日を中国がバックアップするという意思の表われといえます」
朴槿恵氏は大統領就任以来、急速に中国との距離を縮める一方で、激しい反日政策を繰り広げている。しかも韓国の反日攻勢は「中韓連合による国際宣伝」にシフトしつつあるのだ。
韓国政府がいま狙っているのは、慰安婦証言の世界遺産化だ。韓国の女性家族省は1月15日、元慰安婦らの証言資料などをユネスコの世界記憶遺産に登録するための作業を進めていると発表。「中国や東南アジア諸国と連携していく」とぶちあげた。
元慰安婦の証言については虚偽が多いことが明らかになっており、強制連行の確たる証拠はいまだ見つかっていない。にもかかわらず、国内での反日宣伝だけに飽き足らず、いわゆる“従軍慰安婦”という虚構を海外に向けて発信して既成事実化をはかり、日本を追い詰めようとしているのだ。
※週刊ポスト2014年2月7日号