養護施設の子供への偏見を生むなどとの批判を受け、ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系、水曜22時)の提供企業がCMを自粛した騒動に対し、バラエティの制作現場からも、こんな声が聞こえてくる。
「テレビでは、やっちゃいけないことがどんどん増えています。昔は、天井からヤカンや水が落ちてくる罰ゲームがあったけど、今はダメ。『いじめに繋がる』といった声を恐れてるから。落とし穴やゴムパッチンとかもNG。熱湯に入る罰ゲームも、本当はぬるいのにいかにも熱く見せる芸人の“リアクション芸”なのにかなりやりにくくなっている」(若手放送作家)
テレビ局が自主規制をしているのにはある存在の影響が大きい。放送倫理を高めるため、NHKや民放各局の出資によって2003年に作られた第三者機関・BPO(放送倫理・番組向上機構)だ。ここへの抗議が引き金で打ち切られた番組も数知れず。『明日ママ』についても慈恵病院がBPOに申し立てを行なっている最中だ。
「BPOの審議の対象になるだけでもスポンサーが嫌悪感を示すので、過剰な演出には神経質になっています」(情報番組スタッフ)
「特に最近はネットで、電凸(電話でクレームを入れて突撃すること)用にBPOの電話番号や抗議内容のフォーマットがすぐに共有されるので、同じようなクレームが多発して、本当に困っています」(バラエティ番組ディレクター)
一部の視聴者からクレームを受ければ、スポンサーのご機嫌を損ねかねない。それを恐れるあまり、“誰からも抗議されない”ことが優先されるという連鎖が起きている。
※週刊ポスト2014年2月14日号