1月23日、多臓器不全のため亡くなった人気料理研究家の小林カツ代さん(享年76)。
1937年、食いだおれの街・大阪で、製菓材料卸問屋を営む一家に生まれたカツ代さん。食べることが大好きだったという両親に育てられたため、彼女の周りには、いつもおいしいものがたくさんあったという。生前、カツ代さんは両親とのこんな思い出を語っている。
「父が好きだったのは庶民的な料理。なじみの大衆食堂によく連れて行ってくれましたね。一方、母はフランス料理や高級な中華料理、日本料理が好きで、家族そろって出かけていました。おかげで“値段によらず、おいしいものはおいしい”と、自分の舌で納得することができたんですね」
“料理研究家・小林カツ代”の下地は、こうして両親によって育まれた。
しかし、子供のころは、絵や漫画に興味を持ったため、母から料理を教わることはほとんどなく、“だしを取る”ことすら知らぬまま21才で結婚、主婦となった。カツ代さんが夫のために、初めて作ったみそ汁は、水に味噌を入れ、もどしていないわかめを放り込んだだけの、とても飲めたものではない代物だった。
「こんなものを毎日食べ続けるのは嫌だ!」
と一念発起したカツ代さんは、本格的に料理に取り組んでいく。母親、青果店、鮮魚店、そして、近所のお年寄りと、料理上手な人々にアドバイスを受けながら、素人同然だった料理の腕を上げていった。
「カツ代さんは幼いころからおいしいものを食べてきたから、舌には絶対的な自信があったそうです。ですから、頭の中で味のかけ算や引き算がイメージできるとよく話していました」(料理業界関係者)
※女性セブン2014年2月13日号