生まれてから大人になるまでに染みついた「家庭の流儀」はそう簡単に変えられないし、その流儀は誰にでも通用するわけではない。しかも、流儀の違いは一緒に生活してみないと気づかないから厄介だ。どんなに愛し合って結婚しても、どちらかが譲らなければ“最悪のケース”まで発展しかねない家庭内の問題。その1つが「バスタオル問題」だ。
サラリーマンのA氏(50歳)は、昼休みに会社の若い女性社員たちが「バスタオルを毎回洗うかどうか」という話で盛り上がっている場面に遭遇した。聞けば、「彼氏と同棲を始めたら、彼氏はバスタオルを平気で何日も使っている。汚いからすぐやめてほしい」という。その話を聞いていた他の女性たちも、「毎回替えないなんてありえない」と声を揃えた。
A氏は驚いた。A氏の家庭では「何日も」ということはないが、2回使ってようやく洗うのが決まりだ。
「オレだって、実家にいたときも一人暮らしをしていたときも毎日、洗いたてのバスタオルを使ってたよな」
そう思い出したA氏は帰宅後、妻にさりげなくこの話題をふった。すると、妻は不機嫌な表情になり、こうまくしたてた。
「お風呂上がりのきれいな体を拭いてるんだから、毎日洗わなくたって汚くないわよ。バスタオルはかさばって、洗うのが大変なんだからね」
A氏は「別に毎日洗えっていってるわけじゃないんだけど……」と背中を丸くするしかなかったという。