中国では墓地用の土地不足が深刻となっており、とくに都市部の北京では1平方メートル当たり、最も安価な土地で40万元(約680万円)と1年間で3倍以上も値上がりしている実態が明らかになった。最も高いマンションでも1平方メートル当たり20万元(約340万円)なので、高級マンションよりも倍以上の値段で取り引きされているという。中国紙「法制日報」などが報じた。
中国では建前上、土地は国家が管理する公有制であるため、墓地といえども、個人個人では取り引きできない。中国では原則的に個人の墓は存在せずすべて「公墓」で、すべて地元政府が管理している。
実際に墓地を取り扱っているのは政府から委託された民間の業者であり、中国の「公墓管理暫定弁法」では、公墓内に家族、一族、生存者の墓を建てたり、封建的な迷信活動を行なうことを厳禁すると規定している。ところが、政府の管理や介入が少ないため、彼らが悪徳業者と化し、墓地の値段を吊り上げているのだ。
また、中国の場合、墓が死者のステータスともなり、遺族のメンツもかかってくるため、死んでも墓がないというのは、体面上非常に都合が悪くなる。ただでさえ、土地不足で供給が少ないところに、需要が多いため、市場原理が働いて、墓地の値段が急騰しているという現実がある。
ちなみに、2010年の北京市民の平均年収は約3万元で、墓地1平方メートルの13分の1にも満たない計算だ。
中国政府も最近になって、ようやく墓地不足の問題を直視するようになり、悪業者の摘発のほか、海洋散骨や木の下に散骨する方法を推薦している。このほか、北京市民政局はネット上で3D(3次元)の仮想墓地を無償提供する方針を出したほか、フェリー会社は「船上供養」なども考えている。