総務省の労働力調査によると、非正規で雇用されている人は全国で1813万人(2012年)。これは労働者全体の35.2%を占めている。働く人の実に3人に1人以上が、非正規の労働者だ。このうち、学生のアルバイトや主婦のパートを除いた約450万人が、契約社員や派遣社員。その数は年々増加している。
この事実は、新たな問題を生み出しつつある。それは「非正規の子は非正規」という、貧と負のスパイラルがどこまでも続いていく格差社会の到来だ。夫が非正規だという女性(46才)はこう話す。
「私の育った家庭は裕福とはいえず、おもちゃやお菓子をねだっても買ってもらったことはありません。せめて子供には私のようなつらい思いはさせたくない、と子供が欲しがる物は買い与えるようにしましたし、塾や習い事にも行かせていました。でも、夫の収入が減り、私のパートの給料もたがが知れている。結局、塾も習い事もやめさせるしかなかったんです。成績は下がる一方で、このままでは夫や私と同じ道をたどることになるのでは、と不安でいっぱいです」
ある程度の収入があれば、子供にきちんとした教育を受けさせることができる。質の高い教育を受けられれば、将来大学に通い、その後正社員として働ける可能性は高くなる。
しかし、その“ある程度”の収入がないと、どうなるか。教育水準は下がり、社会に出たときにふるいにかけられ、非正規での労働を強いられる。親が非正規なら、子供も非正規。その先の生活保護の問題もまた然り。この連なりは、確実に存在している。大学卒業を控える息子を持つ50代の男性も、非正規雇用者として働いてきた。
「息子の就活がうまく進まなかったんです。私は、正社員にはこだわらず、とにかく一度社会に出てみるといい、と話しました。ところが息子は『おれは親父のような惨めな人生だけは送りたくない』と言い放ったんです。そんなふうに自分のことを見ていたのか…とわかり、堪えきれず涙が溢れてきました」
※女性セブン2014年2月20日号