中国の富裕層約13万人が2009年から2013年の5年間で、駐香港カナダ総領事館を通してカナダへの移民申請を行なっていたことが分かった。中国人申請者のあまりの多さに、同国内で移民の厳格化を求める声が高まり、新しい移民政策案が2月8日、カナダ議会に提出されたほどだ。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
カナダは投資することで長期滞在許可が得られる投資移民の枠があるが、中国人富裕層の人気が高く、北京など中国大陸内の大使館などではなく、香港の総領事館に申請が殺到。
2009年から5年間の移民申請者13万人は全体の申請者数の86%を占める。同総領事館では2012年には中国人の移民申請が多すぎるとして一時、受付を中止する措置をとったほどだ。
移民に寛容な国で知られるカナダだが、さすがに中国人の大量流入に恐れをなしたのか。移民基準の見直しが検討されていた。
新基準では国籍取得申請前の6年間で1460日以上カナダに居住し、年間でも183日以上が必要となる。さらに、国籍取得のための試験、語学能力証明が必要な年齢が以前の18~54歳から14~64歳に拡大された。
中国人富裕層の海外移住国としてはカナダに限らず、米国やオーストラリア、ニュージーランドが人気だ。2011年には米国への投資移民申請をした中国人は3340人で、申請者は1人につき50万ドル(約5000万円)以上の投資をしなければならない。
中国では10億ドル以上の個人資産保持者は315人おり、1000万ドル以上は6万4500人、120万ドル以上は105万人以上に達する。上位1000人のうち84人が全国人民代表大会(全人代)代表で、69人が中国人民政治協商会議(政協)委員。このうち約250人が共産党員だ。
一昔前は共産党といえば、プロレタリアート(労働者階級)の代表といわれていたが、今は昔で、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の発表によると、2万2000人の中国人および香港人がカリブ海諸国のタックスヘイブン(租税回避地)の企業や信託会社を設立して、莫大な資産をため込んでいることが分かっている。
中国では個人が海外に持ち出せる資金は5000ドルと決まっており、これらのタックスヘイブン利用者は党幹部などの特権階級とみられる。このICIJの報告により、党や政府幹部など特権階級が中国を逃げ出し、資産を持ち逃げしている実態がさらけ出されたことになる。