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ネット影響でクレームのハードル低下 早めの対応で被害減少

 昨今、学校や教師にクレームをつけるモンスターペアレンツや、病院や医師にクレームをつけるモンスターペイシェントなどが話題になっている。それにしても、どうしてこれほどクレームが多くなったのだろう。

 津田塾大学教授の萱野稔人さんは「手段が広がったこと」がいちばんの理由と語る。

「これまで、クレームは、言った人と言われた人だけの問題でしたが、今はインターネットの広がりで、それを応援する人も出てくるし、自分ももっと別のところで言ってみようという人も出てきます。いわば、クレームのハードルが下がっているわけです」

 そうしたクレームをいかに早く察知し、企業の損害を最小限に食い止めるか――24時間体制でウェブモニタリングを行っている会社がある。エルテスの執行役員兼リスク対策事業部部長の後藤田隼人さんが、クレームが広がっていくメカニズムを解説する。

「最も多いパターンは、ツイッターやフェイスブック、2ちゃんねるなど、ネット上にクレームなどが書き込まれ、それを見た第三者が、企業に電話やメールを入れるというものです。そこで初めて、企業はクレームの存在に気がつきます」

 時に、クレームをつけた当事者の数より、その書き込みを見て抗議する人の数のほうが、多くなることもあるという。声が数十件にも増幅すると、企業はすぐさま「対応するか、しないか」の判断を迫られる。放置すれば、命取りになりかねない。瞬く間に炎上する可能性があるからだ。

「炎上する前にそれを発見し、対策を取れれば、騒動は広がる前に鎮火できます。第三者による抗議が入る時点では、まだそれほど炎上していないケースが多いのです。早めに検知をして対応することで、企業だけでなく、顧客の側も、各方面の被害者を最小限にできます」(後藤田さん)

 クレームをする人は時に、モンスタークレーマーなどと呼ばれ、疎んじられる。しかし、場合によってはそうした声が大きな力となって、権力側の不都合な真実をあぶり出すこともある、というのは、萱野さんだ。

「いじめ自殺事件が相次いだ時期がありましたが、学校や教育委員会が問題を矮小化して処理しようとするのを、インターネットの掲示板などで同意者を募って、クレームをつけたことで対応を改めさせたこともありました。今まではなかなか届かなかった声が、見える形で届くようになって、物事が動くこともあるわけです」

※女性セブン2014年2月27日号

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