嵐のように過ぎ去った五輪のなかで、競技以上に「名前」で鮮烈な印象を残したのが、スキージャンプ男子団体で銅メダルを獲得した清水礼留飛(れるひ、20)だ。テレビの前の視聴者が、彼のジャンプの際、「いったい何て読むんだ」と固唾をのんで見守った。
実はこの名前を付けたのはスキーの国体選手だった父。由来は、日本にスキーを伝えたとされるオーストリアのテオドール・エードラー・フォン・レルヒ少佐だというから、まさにスキーの申し子なのだ。
今回のソチ五輪では、このように個性的な名前、いわゆるキラキラネームの選手が目立った。
スノーボード・ハーフパイプの岡田良菜(らな、23)は、『未来少年コナン』の登場人物「ラナ」が由来で、フィギュア金メダルの羽生結弦(ゆづる、19)だって初見で読める人はなかなかいない(由来は「弓の弦を結ぶように凛とした生き方をしてほしい」と父が命名)。ウィンタースポーツはキラキラネームの宝庫なのだ。
「特殊なスポーツをやっている選手の親は、もともと子供に個性的であってほしいと思っている人が多い。だから自ずと名前も個性的なのが多いんです。みんな素敵だと思うけど、読み方を覚えるのが大変です(笑い)」(スポーツ紙記者)
しかしなかには、個性的なはずの名前がかぶるという事態も。スノーボード・ハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢(あゆむ、15)と子出藤(ねでふじ)歩夢(19)がそれだ。
実はこの名前、最新の名前ランキング(明治安田生命)では22位という人気ぶりで、かぶってもおかしくはないんだとか。
そういえば、同競技のトリノ五輪代表、成田童夢も名前に「夢」が付いていた。童夢の弟の成田緑夢(ぐりむ)はスキー・ハーフパイプの日本代表。さらに昨年の全日本選手権には、ふたりの歩夢以外に、片山來夢(と書いて「らいぶ」と読む)も7位に入り、上位10人中3人が「夢」と付いていた。
※週刊ポスト2014年3月7日号