文部科学省がまとめた「教職員人事行政状況調査」によると、2012年度に懲戒処分(免職・停職・減給・戒告の4段階)を受けた教師は968人。うち「免職」は207人で過去最多である。その中には「わいせつ行為等」で処分された119人(過去最多)も含まれているが、その中には女性教諭が起こした不祥事もある。
東京都の小学校では、25歳の女性教諭が勤務先の宿泊行事の引率中、〈ポーチの中に隠し持った自己所有のビデオカメラで、同校第6学年女子児童が入浴する様子を録画した〉。この女性教諭は都内のプールでも女性更衣室で盗撮していたことが明らかになっている(免職)。同じく都内の高校では、27歳の女性講師が勤務校の男子生徒と飲酒。ホテルや自宅に繰り返し連れ込んで性行為に及び、免職となっている。
校外でのわいせつ行為も、痴漢・盗撮・強制わいせつと枚挙に暇がない。文部科学省初等中等教育企画課は、
「特に児童・生徒に対するわいせつ行為等はあってはならないことであり、毎年各教育委員会にはこうした非違行為については厳正な対処で臨むよう通知を出しています。確かにわいせつ行為等による懲戒免職件数は過去最多ですが、教員全体の92万人の中での比率は、毎年ほとんど差がありません」
という。ただし、教育社会学が専門で教育評論家でもある小宮山博仁氏は次のように厳しく指摘する。
「一般人と比べて教師のわいせつ行為事案が多いのかどうかを検証してみます。日本の生産年齢人口(約8017万人)に対し、わいせつ犯罪は約1万2800件なので、比率は約0.016%。教師は全国で92万人います。セクハラなどで軽い処分を受けた人を除くために免職処分を受けた教師(119人)に限って比率を出してみると0.013%。
もちろん一般人は犯罪に至っていなくとも会社内だけで処分を受けたケースがあると思いますが、それにしても大学で教育について学び、生徒や児童を指導して守るはずの教師が一般人とほぼ同程度というのは由々しき問題です。また、わいせつ行為の被害者の約7割が自校の生徒・児童や教職員と身近な人であるのも親にとってはとても不安です」
取材協力/佐々木奎一(ジャーナリスト)
※SAPIO2014年3月号