男女の平均寿命の差もあり、夫婦で先に死ぬのはたいてい「夫」だ。男たちは当然「自分がいなくなれば、あいつは悲しむだろう」と心配する。「ちゃんと立ち直れるのだろうか」とも考えるだろう。だが、妻たちは案外「真のセカンドライフ」を楽しんでいる。
50代前半、教員の麻衣子さんのように、家の中から夫の“痕跡”を消してしまった人もいる。
「四十九日がすんでから夫が書斎に使っていた部屋を整理し、下の子供の部屋にしました。夫が使っていた家具や蔵書、形見分けする価値もないような私物は全部リサイクルショップに売り、そのお金で家族旅行に行きました」
そうした例は決して特殊ではない、と話すのは評論家の小沢遼子氏(76)だ。
「私の周囲は、ダンナが亡くなって元気よくなった人ばかり。女は家事や育児や介護で自分を犠牲にしてきた人が多いので、独りになったらあれをしよう、これをしようと考えていて、ダンナの死後すぐにそれを実行に移すんです。
逆に、夫を亡くして寂しい悲しいと嘆き、落ち込んでいる人は見たことがない。思い出話に耽る人もいない。みんな旅行、芝居、ジム、ゴルフなど好きなことをして今を楽しんでいます。
むしろ、不満を抱いているのは定年間近の夫を持つ女性たち。『もうすぐダンナがいつも家にいることになるのかと思うと、イヤだ、イヤだ』って嘆いていますよ」
※週刊ポスト2014年3月7日号