最近、約200万円といわれる高額な葬儀費用を見直す動きが高まりつつある。葬儀葬儀業者に頼らず、全てを自分で段取りする「DIY葬(Do It Yourself)」を提唱するのが葬儀ライターの奥山晶子氏である。
例えば父親が東京都内の病院で亡くなったとしよう。まずは医師から故人の「死亡診断書」を書いてもらう。これにかかる費用が5000円から1万円ほどだ。大病院であれば遺体安置所があるが、そうでなければ死亡後、通常数時間で遺体の搬出を迫られる。まず、DIY葬の第一関門はこの遺体搬出作業である。
病院から火葬場に直行すればいいのでは?──と思う方もいるだろうが、死亡から24時間経過しないと火葬してはいけないという法律があるので、遺体はいったん病院から自宅へと運ばなければならない。遺体を安置できる大きな自動車(ワゴン車など)を持っていないならレンタカーを借りる必要があるだろう。
自宅に着いたら遺体が傷まないようにドライアイスで冷やす。ドライアイスは製氷店などで購入。1日分で10kgが目安だ。これをタオルに包んで、遺体の両脇、首、お腹にあてておく。真夏なら部屋のクーラーを強めに。1~2日ならこれで大丈夫だという。
遺体を引きとったらその日のうちに棺桶を手配する。
「最近ではインターネット経由で注文を受けてくれる業者も増えています。安いものだと、1万円台の後半からあります」
次に役所で「火葬許可証」を発行してもらう必要があるが、火葬場が決まっていないと多くの自治体は、火葬許可証を出してくれない。
「個人で申し込むことができない火葬場もあります。日頃から個人でも申し込み可能な火葬場を探しておいたほうがいい」
火葬場が決まれば役所で「火葬許可証」を受け取り、火葬へと移る。東京都の「臨海斎場」(大田区)では、火葬料は2万3000円からだという。
「火葬料は地域によって様々。地方では故人がその土地の人であれば火葬料は無料の場所も多い」
火葬済みのお骨を骨壺に納めて「火葬証明書」を受け取れば、DIY葬は完了だ。
●死亡診断書/1万円ほど
●遺体の搬送・搬出のレンタカー代/2万円ほど
●ドライアイス(10kg×2日分)/1万円ほど
●火葬料/2万3000円
●火葬証明書/300円
合計=6万3300円
もちろん、DIY葬には煩雑な作業と手間がかかるので、現実的ではないかもしれない。しかし、これまで不明瞭だった葬儀業者のサービス価格を査定する参考にはなるはずだ。
※週刊ポスト2014年3月21日号