「定年延長時代」といっても、定年が60歳から5年延びるだけ。その後30年以上続くセカンドライフを、貯蓄や年金だけでまかなっていくことは難しいもの。そして何より、まだまだ健康なのだから社会と断絶した生活を送るなどまっぴらごめんだ──。
そんな死ぬまで働きたいシニア世代の「終職活動」を紹介しよう。
65歳からの再就職先は、探せばいろいろとあるものだ。なかにはサラリーマン時代とほぼ変わらず、朝9時から夕方5時まで週5日勤務という職種もある。現役時代は建設会社で勤務していた70歳のAさんの話。
「現役時代の仕事のノウハウを生かして、工務店の事務をやっています。給料は手取りで月20万円ほど。小さな会社なので作業量はあまり多くないし、会社の雰囲気もアットホームな感じで働きやすい。社長に『Aさん、この件、どう思います?』なんて相談されることもあって、現役時代より働き甲斐がある」
経理も含めた事務分野のほか、販売員や集金、電気やガスの検針などの仕事に就くシニア世代もいる。求人に多いのが、マンションやビルの管理人だ。
「マンションの管理人は管理室にじっと座っているだけではなく設備の点検や運送業者への対応、清掃業務、住民からの苦情への対処など、やることは山ほどある。意外に座っていられる時間は少ないんですよ。
私は月~金が9~17時で、土曜日も9~15時の週40時間勤務。月給は額面14万3000円だけど、70歳までは厚生年金が天引きされるから手取りは12万円です」
と話すのは66歳のBさんだ。マンション管理人に求められるのは、根が真面目で細かいところに目配りできる性格と、なによりも健康だという。
「健康状態に問題がなく、マンションの住民から評価してもらえれば、75歳まで延長できる可能性がある。年金は年々目減りすると聞くし、自分もできれば75歳まで働きたい」(Bさん)
100戸以上の大規模なマンションでは、管理人は管理業務に専念し、別に清掃員がつく。その清掃員に就く人も多い。
そのほかではコンビニ店員、スーパーなどの駐車場での整理員、工事現場での誘導員なども求人の多い職種だ。
※週刊ポスト2014年3月28日号