安倍晋三首相は、「震災の教訓を受け継ぐために」という理由で、3月11日を記念日とすることを検討すると語っている。その教訓のなかに、原発事故の教訓は入っていないのだろうか。再稼働へと遮二無二進む政府にNOを突きつける細川護熙元首相(76才)が、再稼働反対の理由を語った。
* * *
ひと言でいえば、原発は認めてはいけないエネルギーです。何世代にもわたって、土地を汚し、食物を汚し、身体と精神の異常をもたらすことがわかっているわけですから。
先日も、オーストラリアとフランスのテレビ局から取材を受けたのですが、「あれだけの事故があったのに、どうして日本人は原発を再稼働しようとしたり、依然として原発を重要な電源としようとするのか、全く理解できない」と言われました。
日本人は、もっと危機的な意識を持たないといけないはずなんですが、政治家も霞が関も経済団体も、たった3年前のことを忘れかけてしまっている。本当におかしい状況にあると感じます。
政府は、事故の賠償や除染、汚染水の対策、放射性廃棄物の処理に至るまで、そのコストも、すべて国民に押しつけようとしています。その一方で、地震への備えは不充分ですし、避難対策もお粗末。テロ対策もできていません。
脱原発を進めるために、いちばんよいのは、総理が代わること。総理がその気になれば、できるんです。原発がすべて止まっている今こそ、脱原発を決断しないといけない。私は今後も脱原発に向けた活動を続けていくつもりです。
※女性セブン2014年4月3日号