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貧困にあえぐシングルマザー 格安シッター選ぶしかない現状

 埼玉県富士見市で発生したベビーシッターによる男児遺棄事件。逮捕された物袋(もって)勇治容疑者(26才)は、インターネットのベビーシッター紹介サービスで利用者を募っていたが、過去には客との金銭問題など、トラブルも多く抱えていたという。

 物袋容疑者のような保育士やベビーシッターが現実に存在しているにもかかわらず、そんな相手にわが子を預けざるをえない母親がいるのも現状だ。『ルポ 子どもの無縁社会』(中公新書ラクレ)の著書をもつ石川結貴さんは、「今の社会に根本的な原因がある」と指摘する。

「核家族化が進み、近所づきあいも減った現代は、“ちょっと近くの知り合いに預ける”ということができなくなっています。さらに、非正規雇用やブラック企業の問題もあり、夫婦共働きでも貧困状態にある家庭が多くあります。預けたくても預けられない現状から、格安の保育所やベビーシッターを選ばざるをえないんです」

 今回の事件で亡くなった2才男児の母親であるA子さんは、生活保護を受ける身だった。夫とは別居していて、困窮した生活から脱しようと、子供たちを預けて働きに出ていた。昨年5月からは近所のキャバクラで週2日、20時から24時まで時給2000円ほどで働いていたという。

 その仕事のため、A子さんが物袋容疑者に提示した保育料は一晩で4000円。1時間あたり2000円前後の相場からみれば、破格の安さで預けようとしていたことがわかる。A子さんはさらに保育料を下げるべく、料金交渉も行っていたという。そう迫られるほど、貧困にあえいでいたのだ。

※女性セブン2014年4月10日号

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