およそ8700平方メートルの土地一面に1680枚もの太陽光パネルがずらりと並ぶ。
今年3月1日、神奈川県三浦市の高台に開設された「世田谷区みうら太陽光発電所」。今後、ソーラーパワーを用いて一般家庭130世帯が1年に使う電力に相当する44万8300kwを発電する予定だ。
この事業を行うのは一般企業ではなく、東京都世田谷区。自治体が“区営発電所”を持つ理由を保坂展人・世田谷区長に聞いた。
「私が2011年4月に『原発依存の社会からの転換』を公約にして世田谷区長に立候補したきっかけは福島原発事故でした。福島で発電した電気を無尽蔵に使ってきた東京23区の中で、世田谷区は88万人という最大の人口です。世田谷で脱原発を実践してみせれば、ここから社会全体の流れを変えられるんじゃないかと考えたんです。そのひとつとして、区で持っていた三浦市の土地に発電所を作りました」(保坂区長)
世田谷区は、「みうら太陽光発電所」で作った電気を、競争入札で応札した民間電力会社に売り、収入を再生可能エネルギー普及のため活用する。
「今後は福島県や群馬県など、日本各地で再生可能エネルギーを用いて作った電力を世田谷区内で使う“地域間連携”をさらに強めたい。そうすれば電力会社の地域独占が崩れるはずです」(保坂区長)
また世田谷区は「電力の地産地消」を目指し、区民の住宅や事業用建物に国の補助金を使って廉価な太陽光パネルを設置する「世田谷ヤネルギー」プランや区が使う電力の競争入札などを推進する。
「区役所で利用する電気を競争入札したら、東電から買うより年間1億円以上安くなりました。こうした新電力の利用もどんどん進めていきます。原発に頼る社会を一日でも早く脱出したいという消費者が非常に多いので、今後はさらに再生可能エネルギー事業者を盛り上げていきたい」(保坂区長)
世田谷発の再生可能エネルギー革命が進行している。
※女性セブン2014年4月10日号