国内

中国は世界一の再生可能エネルギー大国 原発推進派掲げる嘘

 再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱など自然界に存在し、尽きることのないエネルギーのこと。原子力と違って安全性が高く、環境にも優しい。

 福島の原発事故後、欧米では原発から再生可能エネルギーへの移行が急ピッチで進んだ。ドイツは2022年までにすべての原発を止めることを決め、スイスやイタリア、ベルギーも国民投票で原発に「ノー」を突きつけた。

 世界最多の原発を保有するアメリカは2013年の1年間で5基の原子炉閉鎖を決定し、インド、ブラジルも再生可能エネルギーを導入している。

 とりわけ世界に衝撃を与えたのは、2012年7月、原子力産業の頂点に立つ米GE社のトップのこの発言だった。

「原子力は他の電源に比べてコストが高すぎて、正当化が非常に難しい。多くの国が、ガスと風力と太陽光の組み合わせに発電エネルギー源をシフトしている」(イギリス『フィナンシャル・タイムズ』2012年7月30日付)。

 今や世界の趨勢が完全に変わった、と解説するのは自然エネルギー財団事業局長の大林ミカさんだ。

「欧米では地球温暖化の問題が深刻にとらえられていて、二酸化炭素を排出する火力発電が敬遠されます。さらに福島事故で原発の恐ろしさを学んだ先進国は、安全と環境の面からこぞって再生可能エネルギーの大量導入を国家目標としています」(大林さん)

 今年2月の都知事選に脱原発を訴えて立候補した細川護熙元首相(76才)もこう語る。「欧州では原発はもはや時代遅れで、ドイツ、デンマーク、スペインなどはすでに総発電量のうち再生可能エネルギーが20~40%に達しています。

 原子力ムラの妨害により普及が進まない日本は、今や世界の潮流から取り残されています」

 世界がエネルギーシフトを進めるなか、日本で目につくのは、再生可能エネルギーへのネガティブキャンペーンだ。

 原発推進派がよく口にする「原発はコストが安いが、自然エネルギーは高い」という主張に、大林さんが反論する。

「廃炉や補償費用を入れると原発のコストが天井知らずになることは原発事故が証明しました。一方で再生可能エネルギーを大量に導入する欧米では、発電コストが急速に下がっています。例えば、ドイツの太陽光発電の導入費用は2006年からの6年間で3分の1まで低下しました。

 ドイツでは『電気料金が上がったのは、再生可能エネルギー拡大のため』と言われますが、それは間違いで、大きな要因は税金の上昇と大口需要家の賦課金(負担金)を一般家庭が払っているからです」(大林さん)

 再生可能エネルギーは、「自然任せで不安定な発電だ」という批判もあるが、それについて大林さんはこう語る。

「再生可能エネルギーの先進国では、最新の気象予報システムを利用して気象変動を読み取り、供給する電力の計画を更新しています。電気の安定供給は問題ありません」

 原発推進派は「日本が原発をやめても、隣国の中国が原発を増設しているから、事故が起きたら影響が日本にまで及ぶ」と主張するが、実は中国の再生可能エネルギーの発電量は世界トップだという。

「“原発推進国”のイメージが強い中国ですが、2011年から5年間は内陸部での原発の建設を取り止めています。さらに2012年には風力発電の電気量が国内の原子力の発電量を上回り、太陽光発電も発展しています。中国は世界一の再生可能エネルギー大国です」(大林さん)

※女性セブン2014年4月10日号

あわせて読みたい

トピックス

12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
悠仁さまが2026年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」に出席される見通し(写真/JMPA)
悠仁さまが新年一般参賀にご出席の見通し、愛子さまと初めて並び立たれる場に 来春にはUAE大統領来日時の晩餐会で“外交デビュー”の可能性も、ご活躍の場は増すばかり
女性セブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト