昨年、東京都三鷹市の女子高生がネットで知り合った男に殺されるといういたましい事件が発生した。男は彼女の裸画像をネットに公開するなど「リベンジポルノ」の問題をも浮き彫りにさせた。このたび、3月19日に新刊『少女はセックスをどこで学ぶのか』(徳間書店刊)を上梓した産婦人科医・宋美玄氏が、こうした問題に対し、警鐘を鳴らす。
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日本性教育協会の調査では、女子高校生の3人に1人がクラミジアに感染経験があります。国連人口基金(UNFPA)の『世界人口白書2010』による、「15~19歳の少女1000人当たりの人工妊娠中絶」は、日本は12.1人。性教育に熱心なオランダが8.6人なのと比較しても非常に高い数値です。
私が人工妊娠中絶に関わった中には、堕ろした子供を抱えて「今堕ろしたこのコと写メ撮ってもらえますか?」と笑顔で頼んできた、命に対する感受性に乏しい10代女性もいました。無自覚に行なうセックスが不幸を生み出していることにすら気づかない悲しい事例といえます。
今回のフィールドワークでは、いわゆる「ハメ撮り」経験率の高さも実感しました。4人の20代女性と座談会をしたのですが、4人ともが彼氏から求められ、撮影した経験がありました。中には合意がないのに彼氏に無理矢理撮影された子もいました。
彼女たちによれば、これは決して集まった女性たちが特別なわけではないとのこと。10代・20代の女性の多くが、その危険性を深く認識しないまま男性の求めに応じてしまっているのが現状です。近年、社会問題となった「リベンジポルノ」の被害は、誰にも起こりうるのです。
これらの問題はセックスに対する知識のなさと「臭い物には蓋をしろ」とばかりに、性についての議論を拒む日本の悪しき慣習が影響しているように思えてなりません。親子の間でも、もっと性について真摯に語り合うことが必要です。この本が、その手助けになればいいと願っています。
※週刊ポスト2014年4月4・11日号