日本国内で議論が活発化する原発問題。原発推進派は「日本が原発をやめても、隣国の中国が原発を増設しているから、事故が起きたら影響が日本にまで及ぶ」と主張するが、実は中国の再生可能エネルギーの発電量は世界トップだという。
「“原発推進国”のイメージが強い中国ですが、2011年から5年間は内陸部での原発の建設を取り止めています。さらに2012年には風力発電の電気量が国内の原子力の発電量を上回り、太陽光発電も発展しています。中国は世界一の再生可能エネルギー大国です」(自然エレルギー財団事務局長・大林ミカさん)
中国にできて日本にできないはずはない。実際、原発事故後の民主党政権は脱原発を進めるべく、2012年7月に再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で10~20年間買い取る「固定価格買取制度」を開始した。
この制度により、事業者は安心して再生可能エネルギーに投資できる。1990年に同制度を導入したドイツは、消費電力に占める再生可能エネルギーが3%から23%(2012年)へと飛躍的に伸びた。
ところが日本では太陽光発電は大きく増えてきているものの、他の再生可能エネルギーの普及は進んでいない。
なぜか。大林さんは、電力会社の「発送電分離」が進まないことが大きな壁になっていると指摘する。
「発送電分離」とは、電力会社のうち、電気を作る「発電部門」と、電気を輸送する「送電部門」を切り離すことだ。
「日本の電力会社は発電と送電を独占していますが、先進国では今や珍しくなっています。電力会社は利益のため、当然、自前の電気を優先して送電します。民間会社がいくら再生可能エネルギーで発電しても、送電網がなければ目的地に電気を送ることができません。欧米では当たり前の発送電分離を日本でも義務化して誰でもオープンに送電できるようになれば、再生可能エネルギーは確実に普及します」(大林さん)
日本でここまで改革が進まないのはトップの責任だと断じるのは、先の東京都知事選に脱原発を掲げて出馬した細川護煕・元首相だ。
「政府は2018~2020年までに発送電分離を実現するとしていますが眉唾です。トップが決断すればすぐにできるはず。再生可能エネルギーが進まないのは、トップにやる気がないからです」
※女性セブン2014年4月10日号