マルハニチロホールディングス傘下のアクリフーズ群馬工場(4月にマルハニチロに統合)が製造した冷凍食品に農薬マラチオンを混入したとして、今年1月、同社の元契約社員、阿部利樹被告(49)逮捕・起訴された。
その阿部被告から小社に獄中体験の本を出したいとの手紙が届いた。そこで本誌記者は阿部被告に約60分に及ぶ面会を行なった。
彼は「女房が会いに来てくれない」と嘆きながら、ネットでの評判を異様に気にして、弁護士に書き込みを見せてもらうのだという。
「死刑になっちゃえという人もいますけど、『阿部さんは会社の被害者だと思います』と書いている人もいましたから」
接見を通じて彼から感じられたのは、他人に認められたいという強烈な「承認欲求」だった。
彼にとって、「正義おじさん」(※漫画『ONE PIECE』のコスプレをしていたため、近所でこう呼ばれた)と「マラチオン男」(※ネットの一部での呼ばれ方)は、自分の存在を世に知らしめる意味で似たようなものだったのかもしれない。
「この事件はかなりみんな知りたい事件だと思うんですよ。やっぱり受け入れられると思うんですよね」
彼の手記に、事件に対する「反省と謝罪」は書かれるのだろうか。
※週刊ポスト2014年4月18日号